不定詞とは何か?(英語史)[興味のある人だけ]
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解説
■to 不定詞は「目的」「方向」を表す意味から発展したもの

 

 不定詞はどうやって現在使われる形や意味を持ったのでしょうか?その歴史的変遷を上の図(mobile用は下)に簡単にまとめました。
 現在のhold という動詞を例にすると、古英語では hold は haldan という "to の付かない不定詞"の形で「持つことは」「持つことを」という今の動名詞のような使い方をされていました。そして、方向を表す前置詞 to の後に置かれるときには haldennne と変化し to haldenne「持つことに向かって⇒持つために・持つための」と現在の不定詞の形容詞的用法や、副詞的用法の目的のような意味を表していました。つまり、現在の不定詞の名詞的用法にあたるものは"-an"、形容詞・副詞的用法にあたるものが"to -enne"と別々の形で使われていました。中英語では、いろんな語尾変化がなくなっていき -an や -enne が取れたため、これまで名詞的用法の使われ方をしていた holdan は hold となり、to が付くto haldenne は to hold と変わります。ただ、名詞的用法の不定詞にはこの形では問題が生じます。"hold"のまま主語や目的語に使ってしまうと、We begin hold …. のように動詞との見分けが付きにくくなります。そこで、hold という名詞的用法の「~すること」は to hold というそれまで形容詞的・副詞的用法であった形に統一・吸収され "to hold" で「名詞・形容詞・副詞」のすべての意味を表すことになりました。今では toの付かない不定詞(参照:原形不定詞)は、限られた場面で生き残ってはいますが、to 不定詞 に圧倒されてしまったという結果になっています。
 以上のことから、現在の不定詞には to = in the direction of「~の方向へ・~のために」のニュアンスが色濃く残っており、不定詞自体に「未来を志向している」という性質が含まれています。例えば、英字新聞の見出しでは、to 不定詞 を will + 動詞 と読み替える場合が多々あります。
Bush to visit Russia.=Bush will visit Russia.
 動名詞と不定詞は意味の点でよく似ていますが、不定詞は「未来志向」、一方の動名詞は「過去志向」であり、その性質は対立しています。