和文英訳問題
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解説
■和文英訳問題
 和文英訳問題とは、与えられた日本語を英訳する問題です。近年、自由英作文にとって代わられつつあるため、出題数がかなり減ってきています。しかしながら、京都大学、大阪大学などの関西の難関大学、地方の国公立大学においては、今もなお英作文の主たる出題形式です。
 英文を書く際の基本的な知識の習得については、記述式英作文 のページを参考にしていただくとして、ここでは、“和文英訳問題”に準じた対処法について論じたいと思います。


● そもそも和文英訳問題においては、何が求められているのか?
 日本文を英語に直すといっても、日本語と英語は文法も違えば、語の持つ概念も違っているので、日本語の字面通りに、英語に変換していっても、英語として読むに耐えるものにはなりません。和文 → 英文 の変換には、通常、以下のようなプロセスが必要とされます。重要なことは、原文が難解な場合は、その字面からはなれて、一旦その状況を思い浮かべて、もっとやさしい日本語で再び言語化することができるか否かです。この作業は“和文和訳”と呼ばれます:



このプロセスの結果として生み出された英文が、以下の基準を満たしているかどうかが求められています:

1) 意味内容が適切か
2) 英文構造は正しいか
3) 語法、文法的な正確さを持っているか

1) は、表される内容に関する理解
2), 3) は、英語の表現力に関する理解
と分けられ、それらが総合的に判断されるのが和文英訳問題と言えます。
1) と 2) が評価の中心であり、それらの誤りは大きな失点を招くことになります。
3) は枝葉の部分なので、その誤りはそれぞれは小さな失点ですが、いくつも誤りを重ねるといつしか大きな失点になってしまいます。完璧を目指す必要はありませんが、少ないに越したことはありません。


● 和文和訳で意識すること
 和文和訳をする際に、多くの文に共通するテーマを以下に挙げておきます:

1) イメージ化:字面からいったん離れて“情景”を考えてみる
 「妻に死なれてから彼の顔はいつも悲しげだ」
→ ?? His face always looks sadly from his wife was died.
 日本語の原文だけに注目しながら英文を作れば、このような結果になってしまう可能性があります。しかしながら、時制の間違いやら非文(非文法的文章)が含まれているため0点です。上の英文を読んだときに「なんかおかしいぞ」と違和感を感じた方がほとんどだと思いますが、その原因はこれまでの英語学習の中で見たことがない英文に出会ったからだと思います。"look sadly" や "was died" は通常の英語テキストには登場しない非文法的な表現です。その理由は
「~に見える」→ look + 形容詞(参照:第2文型を取る連結動詞:主語の様子・外見を表すグループ
"die" は自動詞なので受動態は作れない(参照:受動態作成の基本
自分が書いた英文にそういった違和感を感じた場合は、何かミスがあるものと考え、表面の日本語をそのまま訳す作業を中断し、その原文が意味するところをイメージ化して、他の英語の可能性を考えて見ましょう:

言語にとらわれず事実だけ見れば、上の図のように単純化できます。この“情景”から再出発して、日本語も単純化しましょう。
「妻が死んでから彼は悲しそうに見える」
で十分です。
図の① の事実は "the death of his wife"と名詞化するか , "his wife died"と文章化してもいいでしょう。
② の事実は、現在完了形の継続が適切な時制なので "he has looked sad" とすべきです。なお「~から」は、完了形との相性から since が適切です。すると
He has looked sad since his wife died.
という英文が出来上がります。これなら、同じような英文に幾度となく出会ってきたでしょうし、違和感も感じないと思います。

2) 主語の明示
 日本語は、場面や状況からわかる時は主語を明示しないという特徴を持っています。しかし、英語を書くとなると、5文型のいずれもが最低限“S + V”という構造を持っているため、主語ははっきりと書かねばなりません。何が主語なのかを場面からしっかり読み取りましょう。例えば「月が見える」という文の主語は何でしょうか?「月が」は「見える」の目的語で、主語ではありません。主語は「私は」です。日本語ではこのように状況から推測できる場合、主語は潜在化します。主語を明示して和文和訳すると
「私は、月が見える」となり、第3文型で以下のように英作文できます:
I can see the moon.
(ここでの can は進行形の代用です → 参照:can :根源的用法:能力 / 慣用表現
 また、日本語の主語は「~は」「~が」という格助詞がついているもの、という先入観は捨てた方がよいでしょう。「私から、スケジュールの変更を、彼女に伝えておきました」という文の主語は「私」であり、書き直せば「私がスケジュールの変更を彼女に伝えた」となります。したがって、第3文型で以下のように英作文できます:
I told her about the changes in the schedule.

3) 具体化:抽象的表現・比喩表現 → 具体的で伝わりやすい言葉へ
 例えば「今日のレッスンでは、私達の会話は弾んだ」を英訳する時、「弾んだ」という日本語独特の表現に戸惑ってしまいます。こういった表現は、具体的で情景が思い浮かぶような日本語に変えましょう。会話が、堅苦しく緊張したものではなく、生き生きとしたもの[=lively]になった、あるいは、楽しいもの[= pleasant]になったと考え、形容詞の表現に変えていく、あるいは、会話が順調に進んだ[= went well] とすることもできるでしょう。
In today's lesson, our conversation became lively / became pleasant.
In today's lesson, our conversation went well.
日本語の抽象的表現・比喩的表現は大変美しく味があるものですが、英訳する時には、単に情報を伝達するだけの“具体的で味気ない記号的な日本語”へと和文和訳する必要があります。


● 和文和訳した文を英文に直す時に意識すること



1) 上手に真似をする
 和文が用意できたら、自分が今まで経験した英文の記憶の中から、その和文に合いそうな形式を選択していきます。「なんとしても自分の力で書くのだ」と力まないようにしましょう。既存の英文からうまくネタを拝借していく方が自然な英文が出来上がります。

2) 意味からは気づかない部分のチェックは入念に
 我々はどうしても言葉については、意味(言語の深層)に意識が行ってしまい、その表面の形(言語の表層)を十分意識していないことが多いようです。英語を書く場合はなおさらそういった傾向があるので、表面の英文の形が問題ないか、意識的にチェックをする必要があります。例えば、3単現の s の付け忘れ、名詞の単数・複数の誤りなどは、英文の表面を冷静な気持ちで眺めて初めて気がつくものです。

 最後に、英作文に関係が深い事項を下記にまとめています。暇な時に確認をお願いします。各項目に出てくる例文をしっかり見ながら、時に暗記しながら勉強をすすめていくと英作文のいいネタに使えると思います。
オプション1
■記述式英作文確認事項一覧

1) 文構造の概念を確認する
英語とは、文の要素と修飾語句がどのように絡み合ってできているのか、以下の項目で基本的な概念を確認できます(リンク先の下層項目も参照してください):
文の要素と修飾語
句と節
文型
to 不定詞の名詞的用法
to 不定詞の形容詞的用法
to 不定詞の副詞的用法
分詞の限定用法 [名詞を修飾する用法]
分詞の叙述用法 [Cになる]
分詞構文 [分詞の副詞としての用法]
動名詞の役割
関係代名詞とは
who の用法
whose = of which の用法
whom の用法
which の用法
前置詞の目的語になる関係代名詞の表現
副詞節を導く従位接続詞
名詞節を導く従位接続詞

2) 主な語法を確認する
●動詞の語法
日本語の感覚から自動詞と間違えやすい他動詞
日本語の感覚から他動詞と間違えやすい自動詞
目的語を2つ続けられない注意すべき動詞
仮定法現在:特定の動詞・形容詞との関連
伝達動詞 「(人)に~と言う」:tell / talk / speak / say の違い
動名詞だけを目的語に取る動詞
不定詞だけを目的語に取る動詞
動名詞・不定詞どちらも目的語に取れるが意味が大きく異なる動詞
●形容詞の語法
限定用法だけの形容詞
叙述用法だけの形容詞
主語を人・物のいずれにするかが重要な形容詞
“多い・少ない/高い・安い” で誤りやすい形容詞
●副詞の語法
注意すべき副詞の用法
●名詞の語法
family 型 / police 型の集合名詞
furniture などのカテゴリーとしての集合名詞
紛らわしい名詞の識別

3) 表現に関わる主な事項を確認する
主語と動詞の一致
談話標識
一般的な助動詞の文法的使い方
一般的助動詞それぞれの意味・用法
現在時制
未来を表す表現
進行形(進行相)
完了形(完了相)
受動態作成の基本
第3文型の受動態
第4文型の受動態
第5文型の受動態
仮定法
比較構文の構造と構成要素
同等比較(原級を用いた比較)
比較級を使った表現(優勢比較)
最上級を使った表現(優勢比較)
原級・比較級・最上級・相互の書き換え
否定
副詞の位置
関連問題